~動物園の旬をおとどけ!~

こちらは広報おびひろに毎月掲載している「Zoo レター」のコーナーです。

3月号 たくさんの方のご来園に感謝
  2月26日の冬期開園最終日で、平成23年度の動物園の営業が終了しました。
  今シーズンは土・日曜日、祝日の天候に恵まれませんでしたが、多くの方々にご来園いただき、入園者数が3年連続で15万人を超えることができました。
  職員一同、心より感謝いたします。
  3月から、平成24年度の夏期開園の準備のため閉園となります。皆さまに喜んでいただける動物園にしようと、職員一丸となって知恵をしぼり、汗を流しています。
  動物園は、常に「新しい発見」のある場だと思っています。動物たちは、日々、表情を変えたり違った行動を見せたりしますので、1年を通して何度も足を運んでいただきたいと思っています。
  夏期開園は4月28日(土)からです。来年度も皆さまのご来園をお待ちしております。

                           園長 藤川 研


2月号 ラクダのこぶ
 動物園の北西側にあるラクダ舎に、フタコブラクダの「ボス」が住んでいます。
  背中にあるこぶはラクダ特有のもので、その役割の一つが栄養の貯蔵です。ラクダは体に必要な栄養を脂肪に変えて、こぶの中にためています。野生のラクダは砂漠で暮らしていますが、砂漠の過酷な環境では、いつでも餌を食べることができるわけではありません。そんなときに脂肪をエネルギーに変えて生きていくことができる仕組みになっています。
  ところが、ボスの背中にある2つのこぶは少し垂れています。これは、動物園では毎日餌を食べることができるので、脂肪をためる必要がないからです。
  また、砂漠は日中とても暑い反面、夜になると急激に冷え、とても寒くなります。ラクダは暑さにも強く、寒さにも強い動物なので、冬でもボスは外で元気に過ごしています。

                     飼育展示係 前谷 文美


12月号 寒いのは苦手なんだなぁ~
  だんだんと冬の気配を感じる今日この頃。動物園のおじいちゃんカバ「ダイ」は元気に過ごしています。
  本来、野生のカバは暖かいところに暮らしている動物なので、ダイは冬の寒さが苦手です。最近では部屋から出る回数も減ってきました。
  好物のリンゴを持ちながら呼んでみても反応がなく、室内プールに潜って出てこようとしません。元気なダイの姿を少しでも皆さんに見ていただきたいところなのですが、飼育員が無理やり外に連れ出すこともできないので、結局はダイの気分次第で部屋から出るのを待つばかりです。
  これからが冬の本番です。今年もダイが冬の寒さを乗り越えられるように、ダイの体調管理に気を配り、共に頑張っていきたいと思います。

                       飼育展示係 多田 心

 


11月号 君の家族はリスザルの群れ
  今年6月、動物園で初めてのコモンリスザルの赤ちゃんが誕生しました。
  しかし、生まれてから3日目に赤ちゃんは母親から育児放棄されてしまい、人工哺育を行うことになりました。
  始めたばかりの頃は授乳を昼夜問わず2時間おきに行い、体重が増えるにつれて授乳の回数を減らし、生後2か月目には離乳食を始めることができました。その頃から群れに復帰する訓練も始まりました。
  初めて群れに合流したときは、リスザル同士のコミュニケーションはあまり見られず、大人のリスザルに甘がみされては大きな鳴き声を上げていました。
  しかし、リスザルにとって群れの仲間が本来の安心できる「家族」です。こうした多くの試練を乗り越え、本来のリスザルらしさを獲得しつつあります。群れに戻り、成長していく姿を、ぜひ見てください。

                      飼育展示係 片山 晃嗣


10月号 オシドリとドングリ
 秋の深まるこれからの季節、森にはたくさんの木の実が落ちています。その中のひとつ、ドングリを食べる鳥がオシドリです。
 オシドリはカモの仲間で、繁殖期にオスの羽の色が鮮やかになることで有名です。
 歯をもたないオシドリがどのようにドングリを食べるのでしょうか。それは丸のみです。あの硬い皮をものともせず、「ゴクリ」とのみ込むのです。
 残念ながらオシドリ舎内にドングリが実る木はありませんので、拾い集めたドングリを与えています。そっと眺めていると、「ゴクリ」の瞬間を見ることができるかもしれません。

                     飼育展示係 入交 利都

9月号 馬肥ゆる秋
  秋といえば、スポーツや読書の秋といわれますが、食欲の秋も外せません。動物にとって秋は、寒い冬を乗り越えるために脂肪を蓄える大切な時期です。
  7月4日にミニチュアホースのポーリーとモコの間に子どもが産まれました。顔やたてがみの雰囲気はお母さんのモコ似で、黒い体に白い模様があるところはお父さんのポーリー似です。
  去年の暑い夏。モコに初めて順調な発情がみられたので、繁殖を試みました。モコのところに連れていくと、ポーリーは大興奮。モコに乗りかかろうとしますが、モコは嫌がり、ポーリーを蹴り飛ばします。ポーリーは蹴り飛ばされても何度も挑戦します。ポーリーもモコも、繁殖を手助けする職員もみんな汗だくになりました。
  この子が元気に成長してくとともに、3頭とも寒い冬を乗り切るために健康的に、肥えていくことを願っています。

                     飼育展示係 田中 ちぐさ


8月号 チンパンジー対ニンゲン
 動物園には2頭のチンパンジーが暮らしています。黒い体をしているので、よくゴリラと間違われますが、ゴリラではなく「チンパンジー」です。
 チンパンジーの知能は非常に高く、飼育する立場としては、いかに動物の能力を引き出すか、そして1日を楽しく過ごしてもらうか、毎日が知恵比べです。その多くで負けているのが現状ですが・・・。
 彼らは行動、表情、声を巧みに使い、飼育員に餌をねだり、道具(枝)を使って餌を盗みます。檻の外で雑草を抜いていると、まねをしながら檻の中にわざわざ植えてある草を抜くなど、いつも飼育員の予想を超える行動をしてくれます。
 「チンパンジーに負けてなるものか!」と思ってみても、実際のチンパンジーの能力は奥深く、そのすべてを知ることはできません。
 こうした日々の知恵比べの中で、毎日新しい発見をしていくのです。
 飼育員とチンパンジーの知恵比べ、じっくりと観察してみませんか。
                    飼育展示係 杉本 加奈子
 

7月号 ホッキョクグマ舎のイコロ

 動物園の東側、ちびっこふぁーむの手前にホッキョクグマ舎があります。
 現在の場所にできたのが昭和57年なので、同じ場所から親子2代でホッキョクグマを見ている方も多いのではないでしょうか。
 そんなホッキョクグマ舎に、現在は「イコロ」が暮らしています。
 イコロは、札幌市円山動物園で平成20年12月9日に生まれ、平成22年2月21日に双子の「キロル」と一緒に来園しました。3月6日にキロルがホッキョクグマ繁殖プロジェクトの一環として浜松市動物園へ移動するまでの約1年間、2頭で一緒に暮らしていました。
 1頭になってからしばらくの間は元気に遊ぶ姿があまり見られませんでしたが、時間とともに少しずつ元気を取り戻し、最近ではタイヤやポリタンクを使いながら豪快に遊んでいます。
 体重も200キログラムを超えるまでに成長したイコロですが、まだ2歳です。もっと大きく成長して、立派なオスのホッキョクグマになってほしいと願っています。
                        飼育展示係 新井 憲

 

 

6月号 ちびっこふぁーむのニューフェイス
   ちびっこふぁーむに新しい仲間が増えました。
  昨年は、ヒツジやヤギの仲間はピグミーヤギ1頭だけでしたが、4月に清水町より1歳の白色のヤギ2頭(メス)、ヒツジ2頭(メス)、上更別より5ヶ月の茶色のヤギ2頭(オス・メス)が仲間入りし、とてもにぎやかになりました。
  新しい仲間は動物園に来た当初、柵を飛び越えるなど、落ち着かない様子もありましたが、環境にも慣れ、元気に過ごしています。
  今年からヤギとヒツジの触れ合いを再開しましたので、ちびっこふぁーむで、ウサギやモルモットとともに、新入りのヤギやヒツジと間近で触れ合ってください。
  動物に触る時には、大きな声を出したり、驚かせたりせず、優しく触ってあげてください。

                     飼育展示係 相澤由香理

 

 

5月号 動物園の長老
 おびひろ動物園にいるインドゾウの「ナナ」はインド生まれのメスで50歳になります。3歳で帯広に来て今年で46回目の春を迎えました。動物園の中で最も長く飼育しているので皆さんにとっても思い出深い動物の1頭だと思われます。
  ゾウの一般的な寿命は約60年と言われていますので、少し老いを感じてきましたが、まだまだ元気です。ゾウは頭の良い動物で、お気に入りの飼育員を決めます。ゾウ担当者はナナに認められることから始まります。慣れていない飼育員が担当すると機嫌が悪くなり、なかなか室内から出てこない時もあります。中に入って引っ張り出すこともできず、飼育員はじっとナナの機嫌が直るのを待つだけになってしまいます。
  残念ながら道内でゾウのいる動物園はおびひろ動物園だけになってしまいました。体調管理に気を配り、長く飼育できるよう努めていきますので皆さまも温かく見守り続けてください。

                        副園長 柚原 和敏

 

4月号 おびひろ動物園のライオン
  ライオンのドラゴン(オス)、エルザ(メス)、釧路市動物園にいるキング(オス)は1991(平成3)年9月におびひろ動物園で生まれた20歳になる三つ子です。
  ライオンの寿命は野生では15歳ぐらいといわれていていますが動物園で飼育をすると寿命が延びます。 
  最近のドラゴンはさすがに足腰が弱り、歩く姿が頼りないときもありますが、今でも迫力ある「百獣の王」の風格を漂わせているライオンたちに野生の力を感じます。
  平成22年度の営業は2月27日をもって終了しました。来園
者数は21年ぶりに17万人を超え、170,548人でした。多くの
ご来園ありがとうございました。
  平成23年度の夏期開園は、4月29日㈷を予定しています。

「生まれてまもないライオン」
1991年撮影